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コロナ時代に考えたい学校問題【第123回】

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論説・コラム

逃げるが勝ちでよいのか

 この瞬間も「隠蔽」はいたるところで起きている。それが事実ではないだろうか。
 校長として赴任した矢先に大問題が発覚した。学校で事故や怪我が出て、ある機関へ申請をすると、治療費が補償されるシステムがある。申請書類は養護教諭が作成し、校長が決裁をして、教委へ提出し機関へと送られる。
 ある時、書き直しの書類が差し戻されてきた。それは前年度のものであったが、不備を訂正するために関係資料を養護教諭へ依頼した。すると、あちらこちらに数年分の未提出・再提出の報告書があることが判明した。前年度まで担当した養護教諭に来てもらい事情を確認したところ、書類が滞り面倒になったので、手続きに必要な印鑑を作り自腹で保護者宛に振り込んでいたというのだ。
 ここでチェックをすべきなのは、管理職、教委担当となる。私も責任を取るつもりで教委へ申し出たところ、それは三代前の校長にも責任が及び教委担当も処分対象になりニュースにもなる、前養護教諭や校長は皆定年を迎えていたので、処分が出来ないと言うのだ。
 その養護教諭の夫は役所の要職にあったので、金銭面では数百万を出せたのだろう。文書改ざんや偽造の事実があっても定年を迎えて現在雇用されていなければ処分できないという現行法制度の限界に腹立たしくなった事を今も思い出す。辞めるが勝ち、逃げるが勝ちでいいのか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題