昨年度の大学入試「聞く」「話す」出題わずか 英語の個別試験で
2面記事文科省調査
文科省は16日、大学入試のあり方に関する検討会議を開き、昨年度実施した入試の結果を公表した。一般入試の個別試験で英語のリスニングを出題したのは2・4%、スピーキングを出題したのは0・2%にとどまることが分かった。英語4技能の出題に大きく偏りがあることが浮き彫りになった。同省が初めて技能ごとの出題傾向を調べた。
国公私立の699大学に調査し、試験区分ごとに集計。個別入試の試験科目や英語の資格・検定試験の活用実態なども調べた。
一般入試の個別試験での英語の出題では、リーディングが92・6%と圧倒的に高く、ライティングが45・6%だった。
リーディングとライティングの重視はAO入試(現総合型選抜)や推薦入試(現学校推薦型選抜)でもほぼ同様で、最も出題の多いAO入試でもリスニングは3・3%、スピーキングは1・8%にとどまっていた。
資格・検定試験の活用も2~3割止まりだった。一般入試での活用は21・1%、AO入試は36・8%、推薦入試は24・4%だった。
この日の会議で、日本私立大学協会常務理事の小林弘祐委員は、設置目的の全く異なる学部や大学に「4技能評価を一律に課すべきではない」と述べ、大学の自主性・自律性に委ねるよう改めて訴えた。また、導入する場合にも、公益法人などの組織が第三者機関のチェックを受けながら実施する体制を整えることを求めた。
検討会議では、大学入学共通テストと同時に議論され、昨年度から試行的に始まった「高校生のための学びの基礎診断」の在り方も取り上げられた。
「基礎診断」は学習内容の定着を図るため、国語・数学・英語の3教科について、国の認定を受けた民間テストを高校が選んで生徒に受けさせる制度。昨年度は3千校が実施すると回答した。
しかし、会議では委員から「学習指導要領の目標の達成を評価するのに民間試験である必要はあるのか」(末冨芳・日本大学教授)などと実施体制の見直しを求める声が複数出たことから、今後も検討することが決まった。