文科省概算要求 少人数学級予算、財務省と調整へ
1面記事文科省は9月29日、令和3年度予算の概算要求額が過去最大規模の5兆9118億円になると発表した。少人数学級実現に向けた教員配置については予算額を明記しない「事項要求」として盛り込んだ。教員定数を定めた標準法の改正も視野に入れ、今後財務省との調整を始める。
児童・生徒用デジタル教科書 小・中など7割に整備
要求額のうち、新型コロナウイルスの対策費として5982億円を計上。少人数学級関連予算や学習指導員の配置なども対策費に盛り込んだ。
定数関係では、小学校の専科指導を充実するために2千人の加配も要望した。本年度措置していたチーム・ティーチングのための予算の一部を充てる。その他、発達障害のある児童・生徒への通級指導の充実のため506人、外国人児童・生徒に対する日本語指導教育の充実のために90人増やす。
いずれも対象となる学級数や児童・生徒数に応じて自動的に配置される基礎定数とされていた。
新型コロナウイルス対策費として学習指導員やスクール・サポート・スタッフ(SSS)などの大幅な増員も要求した。学習指導員は前年度比2万4千人増の3万2千人、SSSは1万9900人増の2万4500人を求めた。学習指導員は全校に、SSSは一定の規模以上の学校に配置を進めたい考えだ。また、働き方改革で課題となっている中学校の部活指導では指導員を3千人増の1万3200人要求している。
子どもに1人1台の情報端末を配備するGIGAスクールの実現に向け、児童・生徒用デジタル教科書の整備も進める。
国公私立の7割の小・中学校と特別支援学校に、導入経費の全額を補助する事業もコロナ対策費で要求した。小学校は5・6年生に1教科、中学校は全学年に2教科、特別支援学校は相当する学年と教科を導入できるようにする。
文科省は、令和6年度以降に使用する小学校の採択教科書からデジタル教科書の本格導入を目指している。その前にデジタル教科書を使った授業を学校現場に普及させる狙いがある。一方、ほぼ全ての教科でデジタル教科書を使った授業が可能かどうかの検証も始める。全国8地区でそれぞれ小学校1校、中学校2校を決め、学校で一斉にデジタル教科書を配信利用した場合のネットワーク環境などを検証する。
本年度から始まる大学入学共通テストでは、CBT(コンピュータ試験)化に向けた準備を引き続き進める。新学習指導要領に対応した試験問題やCBTでの出題形式、思考力・判断力・表現力を重視した作問を研究するという。
障害のある子どもにICTを使った支援を充実するための経費も要望した。感染症などの理由で対面による指導が難しい場合、遠隔指導をできるように調査研究を始める。
学校で医療的ケアを行うための看護師の配置も2400人に増やし、中学校区で医療的ケアが必要な児童を受け入れるための実施拠点を設けるとしている。