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国語教育を楽しむ

14面記事

書評

町田 守弘 著
面白く力のつく教材開発を提言

 書名の通り、国語教育を楽しむためのエッセンスが満ちあふれた書である。誰が楽しむのか。当然、学習者自身だ。そして指導者も。著者は、指導者が楽しんで実践できることが大事と説く。
 授業の入り口で、子どもたちが「面白そう」という印象を持つように「楽しく、力のつく」国語学習の教材開発を提言。教材開発の条件として「興味・関心を強く喚起しつつ、国語の学力育成に資するもの」とあるが、この点をしかと胸に刻んでおきたい。一貫して確かな学力の育成を目指す楽しい国語教育の在り方を探るのが趣旨だから。
 本書には、中学・高校での実践例が多く掲載されている。しかし、小学校教員も大いに参考となる。例えば、手紙を書く学習では、高校生が中学生に「後輩へのアドバイス」をテーマに交流作文を実施。異校種間の連携を図る実践として応用できる。この他、学習指導要領の言語活動例からの取り組みや他教科との連携を図ったもの、家庭学習として継続して取り組みたいものなど、多様であり、どれも魅力的な実践である。
 特に興味深かったのがサブカルチャーの教材化。サブカルチャーとは、漫画、アニメ、SNS、音楽等。今を生きる生徒の関心が高い分野を教材化するのだ。生徒ならずとも「面白そう」と思える。詳細は、本書からぜひ学んでほしい。読後は、新たな国語の授業に挑戦したくなる。
(2420円 学文社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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