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コロナ時代に考えたい学校問題【第65回】

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言葉が説得力を持たない時代

 当たり前の言葉が、説得力を持たない時代になってきているのではないだろうか。
 例えば、正義、人格の完成、誠実、正直、反省など、それは教育にあっては日常的に使用される言葉である。その使用に当たって、説得力を持たない時代というか、その人の立ち振舞いによって嘘臭く感じさせてしまう。そこに、言い知れぬ「不信」から来る深い溝ができていると思えてならない。
 振り込め詐欺しかりで、加害者のほとんどが若者である。人を騙す、人を裏切り私腹を肥やす行為は、利益誘導や権力保持の世界では当然とされている。
 「自分や家族が食べていけたらそれで十分」と口では言いながら、ゴルフによく出掛ける人がいるが、その一回を違うものに支出しようと考えない不思議がある。

 生徒指導の目的は自己指導能力の育成にある。商売ならば近江商人の「三方よし」の考え方にたどり着く。その利益は何のために必要なのか。自己の欲望は誰のためか、二宮尊徳翁のたらいの水の原理にあるように、水を掻き寄せればかえって遠ざかり、相手に押しやれば、我がもとに寄ってくる。この行動を無意識に徹底させるのは、道徳か、倫理か、今からの自分の言動か。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題