双方向型オンライン学習、私立中・高は4割弱で実施
2面記事全国私教連調査
全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が新型コロナウイルスによる私立中学校・高校の教育活動や児童・生徒らへの影響を調査したところ、双方向型オンライン学習は4割弱で行っていたことが分かった。文科省の調べでは公立高校の47%が双方向型オンライン学習を行っており、私立中学・高校でのオンライン学習は公立高校よりも低調だったことが明らかになっている。
6月から7月末にかけて調べた。全国私教連に加盟している全日制の私立高校と私立中学校を対象とした。27都道府県の217校から回答を得た。
休業中や学校再開後の取り組みとして多くの学校が実践していたのは「家庭での学習課題の配布」で80・2%だった。「オンライン学習(授業・教材配信、TV放映含む)」が74・2%で、「オンライン学習(双方向)」は38・2%だった。
学校での感染予防としては「教室等への消毒液の配備」が91・7%で最も多く、「子どもの検温」が77・9%と続いた。「少人数指導」は27・2%にとどまり、3割に満たなかった。
一方、教職員への感染防止策は「在宅勤務の奨励」が52・1%で最も多く、「検温等体調の報告」が49・3%、「職員室3密回避対策」は44・2%となった。「勤務時間の縮減」は43・3%にとどまった。この結果から全国私教連では、「教職員への感染防止対策は、自己責任、または、後回しになっているのが実情」としている。
回答者からは通常の業務に加えて、消毒作業などが負担になる他、長時間労働を助長しているという声も上がっている。
本年度7月末までに私立高校35校の生徒924人が学費の滞納を申請していたことも分かった。神奈川や愛知では、滞納を申請していた生徒が1校で100人を超える高校もあったという。昨年度、学費を3カ月以上滞納した高校生は533人だった。
全国私教連はこの結果を受け、新型コロナ感染防止対策のための20人学級の実現や、専任教職員の増員を提唱。教職員の賃金や労働時間などの労働条件が切り下げとならないよう措置を強く求めるとしている。また、学費滞納に関し、国と自治体に家計急変時の補助制度の拡充を促している。