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夏の教育セミナー オンラインで始まる

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直前 新共通テスト

 毎年夏に開催している日本教育新聞社とナガセ主催の「夏の教育セミナー」が10日から始まる。今年の開催方法はオンライン(収録配信)。16日までの開催期間中、全国25大学の入試の変更点や、教科指導の在り方、文科省の担当者による共通テストの解説などを自宅にいながらにして、いつでも見ることができる。首都圏の五つの大学の講演の概要を紙面で紹介する。

学校推薦、人数を拡大へ
東京大学

 東京大学は入試担当の福田裕穂副学長が講演し、東大の教育改革と入試方法などを説明する。
 現在、東大では、六つの新たな教育プログラムが進行している。その一つが1年生を対象とした「フライ・プログラム」。入学直後に、いきなり1年間の特別休学を取得し、国内外でボランティアや就労体験をするものだ。毎年10人程度が採用される。この間、学費はかからず、大学から活動支援金も出る。また英語以外に第二外国語を集中的に鍛える「トライリンガル・プログラム」も進めている。
 福田副学長は講演で、これまで進めてきた教育プログラムに加え、コロナ禍で利用が始まったオンライン授業の可能性についても話す。「世界のトップの研究者や教育者に日本に来ることなく授業を依頼できる」などとメリットを挙げた上で、今後、活用の機会を増やしていく考えを強調する。
 東大の女性比率についても触れる。女性教員が2003(平成15)年の38人から、2018(同30)年には100人に増えている一方、学生に占める女性比率が2割程度から変わらないことを挙げ、女性志願者の拡大に力を入れていく考えを示す。
 入試では、本年度実施する学校推薦型選抜(旧推薦入試)に変更を加える。1校当たりの推薦可能人数を、これまでの2人から最大4人まで拡大。高校側の負担を減らすため、提出資料の簡素化や共通化も図る。またコロナ禍で大会やコンクールの中止が相次いだことを受けて、受験生が不利にならないよう柔軟な対応を心掛ける。
 今回の講演では触れられていないが、東大は新たに共通テストで英語のリスニングを活用する。リーディング140点、リスニング60点満点で換算する。前身のセンター試験では筆記(リーディング)だけを課していた。

2次試験で英・数を重視
一橋大学

 一橋大学は、三隅隆司・学長補佐が学部教育と入学者選抜について説明する。
 同大は商・経済・法・社会の社会科学系4学部を設置しているが、昨年度、指定国立大学法人となったことを受け、研究をさらに社会へ還元することを目指し、2023(令和5)年度以降に自然科学も扱うソーシャル・データサイエンス学部(仮称)を新設し、5学部となる。
 同大の特徴は学部間の垣根の低さにある。大学構内には学部の名前が付いた建物がなく、教員の研究室の配置も学部が混在する。時間割は全学部共通で、学生は約85%の授業を自分が在籍する学部、残りの約15%を他学部の科目から履修しているという。
 三隅・学長補佐は講演で「入学者選抜は高校時代の学びの到達点であり、大学教育における学びの出発点でもある。高校側は大学入学後にどのような教育が行われるか、きちんと知ってほしい」と呼び掛ける。
 各学部の2次試験で、特に重視しているのは英語と数学。国語や地歴・公民の比重は各学部で異なるが、例えば商学部では、理論的な思考や実践志向、国際性が必要になることを踏まえて、英語と数学に比重を置く。2次試験の配点750点満点のうち、英語と数学は各250点、国語と地歴・公民は各125点とする。
 2018(平成30)年度入試からは、推薦入試を全学部に拡大した。全学部共通の出願要件として英語、ドイツ語、フランス語、中国語、数学の資格などを求める。
 入学者選抜要項は7月末に公表した。学校推薦型選抜と一般選抜の募集要項は、それぞれ9月下旬と10月下旬に公表を予定している。本年度からインターネット出願を導入する。

政経など、共通テスト必須に
早稲田大学

 早稲田大学は小森宏美・入試開発オフィス長が一般選抜と共通テスト利用入試を中心に講演する。
 同大学の一般選抜は3パターン。

 (1) 3教科の独自試験
 (2) 英語4技能テストの利用
 (3) 共通テストと独自試験の点数を合算する

 これに対して、共通テスト利用入試には、共通テストのみで選抜する方式と書類選考を加えて選抜する方式がある。
 本年度の入試で大きく変わるのが政治経済、商、国際教養、スポーツ科学の4学部。政治経済、国際教養、スポーツ科学の3学部では、従来の3教科方式をやめ、共通テストと学部の独自試験で選抜する。国際教養学部は4技能テストを加点方式で利用。最大20点加点される。
 商学部では「地歴・公民型」「数学型」「英語4技能テスト利用型」を新設する。また、商、国際教養、文化構想、文の4学部では、昨年度まで実施してきたセンター試験利用入試(センターのみ入試)を廃止する。
 合否判定に利用しないながらも全学部で必須にする事項もある。ウェブ出願時、受験生に主体性・多様性・協働性に関する経験の記入を100字以上500字以内で求めることだ。高校時代の経験を振り返り、表現させることが重要だと判断し、導入を決めた。
 新型コロナウイルスで学習の遅れなどの影響を受けた高校生に配慮するため、本年度は共通テストに第2日程(1月30、31日)が設けられる。
 一般選抜と共通テスト利用入試の出願期間が1月6~20日の同大学では、従来は自己採点後に出願できたが、第2日程では自己採点が申し込みに間に合わない。受験生には、受験日程と入試方式をよく検討し、出願することが求められる。

4技能試験の活用を拡大
上智大学

 上智大学は前半、藤村正之副学長がグローバル化に向けた取り組みなどを紹介。後半は網倉久永・入学センター長が本年度の入試について説明する。
 上智大では、国際教養学部や理工学部英語コースで全ての授業を英語で実施。他学部の学生でも一定の英語力があれば履修できるようにした。2014(平成26)年には、地球規模の課題解決に取り組む総合グローバル学部を開設し、グローバルとローカルの視点から考える力を育てる。
 また、2019(令和元)年4月からは学期制に「セメスター制」(2学期)と「クオーター制」(4学期)を併用し、海外での留学やインターンシップに参加しやすい環境づくりを進めている。現在は新型コロナの影響で、留学や海外インターンシップの多くが停滞している。藤村副学長は、協定校とのオンラインでの語学授業などを強化していく考えを示す。
 入試では、網倉センター長が変更点として

 (1) 外国語の4技能試験の活用
 (2) 共通テスト利用型選抜の新設

 ―を挙げる。入試制度の異なる一部学部などを除き、全学部で実施する。4技能試験は英語以外にドイツ語、フランス語も利用できるようにする。
 上智大の一般選抜は「TEAPスコア利用型」と、学部試験と共通テストの「併用型」「共通テスト利用型」に区別される。講演では試験方式ごとの特徴について話す。
 欧州言語共通参照枠「CEFR」のレベルに応じた加点・みなし点などの対応も広げる。「併用型」では、CEFRのレベルがA2以上の場合、共通テストの外国語の得点に加点される。「共通テスト利用型」では、B2以上で外国語のみなし得点として結果を利用することができる。

英語民間試験、大胆に活用
立教大学

 立教大学は同大学入学センターの和田務・入試広報担当課長が講演する。「専門分野も英語で学習し、将来、世界のグローバル企業で働ける人材を育てる体制を整えた」と英語4技能を重視した入試の見直しなどを説明する。
 立教大の一般選抜は新制度の「一般入試」と「共通テスト利用入試」の2種類。一般入試は、大学独自の英語試験をやめたのが特徴だ(文学部のみ独自試験の日程あり)。文科省は共通テストで民間試験の活用を延期したが、同大学では4技能評価に向けて大胆な活用に踏み切った。ただ、民間試験ではなく、共通テストの英語を選択することもできる。
 一般入試で合否判定に採用するのは英検、GTEC、TOEFLなど主な民間試験の7種類。2年以内に受けた試験で最も高いスコアを提出することができる。共通テストの英語と民間試験をどちらも受けた場合、点数の高い方を合否判定に使用できる。
 一般入試では、英語の民間試験の活用と並んで受験機会を増やすのも特徴だ。学部・学科の併願の組み合わせを柔軟にし、文学部は最大6回、理学部は2回、その他の文系学部は5回まで受けられるようにする。これまでは同じ学部の違う学科を受験する機会が少なかったのを見直した。文系学部は国語と選択科目、理学部は数学と選択科目のどちらも2科目で受験できる。
 一方、共通テスト利用入試は、従来のセンター利用入試から大きな変更はなく、地元受験が可能、国公立大との併願がしやすい、などの特徴がある。共通テスト利用入試でも英語の民間試験は活用する。スコアを提出すると、共通テストの英語と得点の高い方を合否判定に使用することができる。

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