創造する心 これからの教育に必要なこと
16面記事Marvin Minsky 著
Cynthia Solomon、Xiao Xiao 編
大島 芳樹 訳
「人工知能の父」が提案する教育像
人工知能の父といわれる著者マーヴィン・ミンスキーの教育に関する六つのエッセーを集め、それぞれに著者を深く理解する著名な研究者らの「まえがき」を付した。また、日本語版刊行に寄せて、原著では割愛した部分も含め、パーソナル・コンピュータの父、アラン・ケイが最初に書いた原稿全文、わが国で高大接続システム改革をけん引した安西祐一郎氏の特別寄稿を収録し、読者に刺激を与える。
収められたエッセーは「無限の組み立てキット」「数学を学ぶのはなぜ難しいのか」「年齢別クラスの弊害」「教育と心理学」など。著者は声高に改革を主張しているわけではない。例えば「一般教育を始めるのは、子供が何か1つのことの専門家になった後にすべきではないか」(一般教育を問う)や、学校がするべきことの一つに「子供に『考えることについて考えることを教える』ということである」(ロール・モデル、メンター、インプリマから学ぶ)などの提案を提起し、読者に投げ掛ける。
コンピュータ・サイエンスのパイオニアでもある著者らしく、オンライン・ネットワークを通じた相性の良い師に出会える仕組みづくり、コンピュータを活用して「子供が自分自身についての理論を作り出せるようにするためのアイデア」も示す。例えば、ロボットを使ったプロジェクトなどである。
プログラミング教育がなぜ大切なのか、気付かせてくれる箇所も随所にある。
(2640円 発行 オライリー・ジャパン、発売 オーム社)
(矢)