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コロナ時代に考えたい学校問題【第21回】

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本質を見抜く訓練

 相手の話を「より深く聴く」努力を私は怠って来たかもしれないと考えてみた。話は聴いてはいるが、言葉や見える情報で判断して来たように思える。今更ながら、もったいない事をしてしまった。「より深く聴く」の反対は、SNSなどの素早いやりとりである。感情や真意が読み取りにくい為に、相互が勝手に思い込み、トラブルになるケースは多い。

 ただ話を聞くのではなく、「より深く聴く」のである。この構えがあるとないとでは、その後の展開が大きく異なってしまう。何気なく聴くと、その話の奥にある真意や不安や虚勢は聞き取れない。「オレオレ詐欺」もほとんどが電話のやり取りで、思い込まされてしまう。携帯にも怪しいメールが入って来ることが多くなった。情の流れに棹をさすように誘ってくる。すべてが信じられなくなってゲームに走る者もいるが、行き着く先は同じである。

 本質を見抜くには、「より深く聴く」という構えと、決めつけないで俯瞰する訓練が不可欠である。「饒舌な言葉」、「つくり笑顔」、「目の動き」、「仕草」には心の動揺が現れる。人を引き付ける口先商売が世の中には溢れている。外見を派手に飾るものは、概して中身がない。今からでも「より深く聴く」を心掛けて、同僚、保護者、子どもに対峙してはどうだろうか。自分の心の奥にあった声も聴こえてくるかもしれない。
 「聴」の部首は「耳」であり、「和」の部首は「口」である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題