コロナ時代に考えたい学校問題【第16回】
NEWS第一次産業を体験しよう
キャリア教育の大きな偏りを指摘したい。第一次産業の若者の就業率が激減している。海外からの労働力に頼らないとならず、仕事が終われば、ほとんどが帰国してしまう。技術も伝統も誇りも日本から消えていく現実がある。こうした傾向を止められるようなキャリア形成はされていない。昨年は台風や暴風雨で甚大な被害が出たが、屋根職人が足りない為に素人が危なげに張るブルーシートには限界がある。
キャリア教育を教えている教師は、特に中学、高校そして大学の場合、「漁業」の現場や「農業」の現場や「酪農体験」等で自らの経験は乏しい。それでも、教えなければならないとなると、どうしても能書きを並べた机上の空論になる。基本は先ず教師が経験することである。教職学生のキャリア体験に第一次産業経験を介護実習同様に課してはどうだろうか。
そうした受け入れ環境を整えて、先ずは、教える教師が汗することである。キャリア教育のターゲットは何処にあるのだろうか。生活のために、家族のために働くのが現実ではないのか。いやいやながらとか、仕方なくとかで第一次産業は務まらないし、その産業こそが人間社会の基盤を支えている。自然災害は待ってはくれない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)