教員養成カリキュラムの持続的構築
15面記事桃山学院教育大学
教職課程科目のカリキュラムと授業実践を焦点にして
梶田 叡一 監修
中村 哲 編著
「教師力」の基盤の力と指標を示す
本書は、「人間教育」を大学の理念に掲げ、2年前に新発足した桃山学院教育大学の立ち上げに関わった教員が中心になって、教員養成カリキュラムと授業実践改善の状況を取りまとめたものである。
注目されるのは、地元大阪府、堺市の教員育成指標を踏まえつつ、独自の「桃教スタンダード」を策定し、教育現場で求められる教師力の育成と出口確保の取り組みを強力に進めようとしていることである。同スタンダードでは、桃教の教育理念である「人間力」を第一の柱に位置付けながら、基礎となる五つの力・15の指標を明確にしている。
(1)人間力
・<我の世界>を豊かに生きる
・自分自身を受容する
・「人格の完成」を求め続ける
(2)教師としての資質
・人権を尊重する
・学び続ける
・公教育の担い手としての自覚
(3)組織人としての資質
・他者と協働する
・保護者・地域と連携する
・学級を経営する
(4)授業力
・授業計画を立てる
・「主体的、対話的で深い学び」を実践する
・授業評価をする
(5)子どもと向き合う力
・子どもを理解する
・集団づくりをする
・子どもをエンパワーする
学生たちとの七つの約束の第1には「すべての始まりは挨拶から」とあいさつの励行を掲げる。学生たちが自分に革命を起こして「大化け」して卒業していくことを最大のミッションとする桃教の成果に期待しよう。
(2200円 銀河書籍)
(矩)