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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第76回】

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身を挺する気概

 有名で、または力があると思われていて、一定の役職に着いている方々が、自ら率先して困難校へは赴任せず、伝統校や有名校へと赴任する。それを断り困難校へと向かう器量のある者は稀である。
 実績があり、実力があるのであれば、身を挺する気概が欲しい。残念ながらそうした人物に数人しか出会えていない。それでも多いのかもしれない。

 県の人事を統括する筆頭職から、敢えて地元の最大困難校へと異動した先輩がいた。一年後にお会いしたら別人のように痩せておられた。
 その眼光の鋭さに必死さが伝わってきた。圧倒されながらも、こうした人になりたいと、その後の私の指標とさせて頂いた。高齢となられた今も、多くの方から慕われ、教育に携わっておられる。

 よく様々な方のプロフィールを見ると、これでもかというくらいの履歴が列挙されているが、会ってみるとその履歴に見合う人物だと納得することは殆どないのが残念でならない。
 目立たなくとも、最後の最後まで、最前線の困難校や難題を自らの主戦場として、坦々と凡事徹底をされた先輩方の勇姿に青年教師は感化されるものである。
 困難に対して我が身の安定を先とせずに、腹を据え、微笑を絶やさず、決して驕ることなく善き方へと導く凡人でありたい。安易に伝統校や有名校に人物が居るとは思ってはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」