大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第73回】
NEWSどうなる「実習」と「採用」
教職を目指す学生は教育実習が必須になっている。しかし、現状からして実習を受け入れられない地域や学校も出ている。基本は自分の出身校に依頼して教育実習をさせて頂くことになるが、受け入れる方は安易にはいかない。
特に感染数の多い地域から学生が来る場合、緊張感は高まる。感染後、陰性とされた人が陽性に変化するなど、対処方法が定まらない中で、ある意味リスクを承知で学校は受け入れるべきだろうか。仮に断った場合、学校はよいだろうが、学生は母校に断られて他を探すことになる。
そうした学生を受け入れてくれる学校に多くの方が次々になだれ込むことになる。さらに、そこでも断られた学生はどうするのか。こうした事態を想定すると、これまでのように教育実習を必須には出来ない事になる。
それに代わるものを用意する場合、オンライン模擬授業やオンライン生徒指導など、学校で起きる出来事や経験をさせる必要が出る。これを大学毎に作るのか、それとも文科省等がリードして作るのか。
現状のままでは、教育実習を出来た学生と、出来なかった学生が混在してしまうことになる。
次に、採用試験が予定どおりに行えるかである。任命権者は、この流動的の中でも様々な対応を想定しているだろう。国内では、試験日がブロック毎になっているが、それは重複受験により辞退者を少なくする為である。たとえば、関東地方の場合、東京都はまだ出来ないが、近隣県や政令市は出来そうとなった場合、前記の理由を無視して実施には踏み出せないだろう。実施に踏み切ったら、その自治体へ受験者が集中することになるかもしれない。
既に危険を察して可能な限りの志願をしている学生もいる。だからと言って、今さら試験問題を複数作り直すとか、三密を避けるためにより多くの試験会場を確保するとかの思案に苦慮している事が想定できる。
また、面接もオンラインとなる場合、質問内容が同じでは、資質や力量は図りにくいのである。
如何なる手を打っても満点はないだろうが、受験を控える者としてすべき事は何か。第1に受験する自治体の情報チェック、第2に生活リズムを整えて試験への準備をしておくことである。
環境に振り回されるのではなく、その環境を受け止めて、自分のすべき事を、慌てず、騒がずにやることに尽きる。すなわち、人と比べるのではなく、「昨日の自分」と「今日の自分」のみを比べて、一ミリでも前進させることである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)