大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第52回】
NEWS聴衆まどわす実態を教材に
何のための報道なのか。視聴率を奪い合うためか、スポンサーの利益のためか。どの報道もコロナばかりである。その点、新聞の情報は広い紙面でそのニーズをある程度は満たしてくれる。
一番愚劣なのはワイドショー等の部類である。コメンテーターがどの番組にも登場して同じ話をする。聞けば聞くほど何が真実か分からなくなる。
聴衆の状況を考えて、コロナ関連、一般関連、生活関連、健康関連、国際関連、経済関連、教育関連等にチャンネルを分け、党利党略やスポンサーの利益を度外視して焦点化する事が緊急事態宣言の政策であってよいと私は思う。
緊急事態でのメディアの使命は、聴衆を惑わすのではなく、不安を軽減し、安心と信頼を積み上げる事にある。メディアを使って集団心理を弄ぶ手法は、歴史を振り返れば折々に利用されている。
たった今、ある政党の宣伝カーが体制批判をしながら通過した。不安を材料に陽動するいつものやり方である。今、利権や利益を得る時か?と、メディアも含めて厳しく私は問いたい。
この実態こそ生の教材にして、未来を担う学生に伝えねばならない。決めつけないまでも、判断を間違えることが人の常なのである。
歴史上の英雄が本当の人物と言えるのか。ある時、徳川家の末裔に無礼極まりない質問をした。
「徳川の家に産まれて、どういう思いですか?」と、その返答は「恨まれていると思いますよ」だった。言葉を失った。その通りなのだろう。
真実を語り、先見性に優れていても、都合の悪い者は次々と抹消された歴史がある。小栗上野介など多くの先覚者が居たことを忘れてはならないし、伝えねばならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)