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東京の学校 始業式終え、再び休校 学習の遅れに不安の声

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 新型コロナウイルスの影響で臨時休校していた学校の一部で6日、入学式や始業式が行われた。久しぶりの再会も1日限りの登校となり、再び休校を迎える学校も多い。通常の教育活動がいつから始まるのか見えず、教員からも不安の声が高まっている。

入学式も校庭で

 「こんなに寂しい始業式をするのは初めてです。次に会う時は、みんな笑顔で集まりましょう」
 東京都江戸川区立南葛西第三小学校。校庭で行われた始業式のあいさつで淺野努校長は、時折声を震わせながら子どもたちにそう呼び掛けた。
 毎年、歓声が上がる担任発表の時も、この日は静かなまま。式は淡々と進み、30分程度で終わった。2年生の男子児童は「久しぶりだったので学校に来るのが少しどきどきした」と話す。
 4月1日に休校延長が決まった後も入学式・始業式は日程通りに開催することを伝えていた。しかし、都内での感染者の急増を受けて、直前に保護者に全員参加ではないと連絡すると、この日の朝、家庭から欠席を伝える電話が相次ぎ、始業式の出席は9割を下回った。本年度、同校に転入した5年生の児童の母親は「前の学校とは進度も違うので、勉強が遅れないか不安です」と表情を曇らせた。
 出席者の制限などを設けて校庭で入学式を行った足立区立東栗原小学校では、伊地知広竹校長が「健康が第一。もう少しだけ辛抱して、みんなでこの状況を乗り切りましょう」などとあいさつした。子どもたちからは早めの学校再開を望む声が寄せられているというが、伊地知校長は「状況が状況だけに、非常に歯がゆい」と話す。


 渋谷区立千駄谷小学校では、始業式後に学級ごとに分かれて休校中の過ごし方などを担任が指導。児童に1人1台配布されているタブレットを使った学習を呼び掛けた。鍋谷正尉主幹教諭は「タブレットを活用して健康管理や学習状況の把握はできているが、直接様子を見ることができないのは不安だ」と話す。

ICTを生かす
 現場の大きな悩みは、先が見えない臨時休校の影響による学習の遅れだ。南葛西第三小の池堂正伸教諭は「3月の未履修分を4月に取り戻そうと思っていたが、全くできなくなった。今年の夏休みがつぶれることも想定しているが、それも夏までに感染拡大が収まっていればの話」とため息を漏らす。
 同校ではICT学習の環境が十分に整っていないため、休校中は毎週、家庭学習用の問題を教員が作り、保護者にメールで配信していく予定だ。入学式では、4月の授業でやるはずだった平仮名などを家庭学習用にプリントにして配った。
 同校の淺野校長は「子どもにとっても教職員にとっても大切な4月がなくなり、ストレスばかりがたまるが、学校再開を見据えて、やりたいことをたくさん考えている。学校が始まったら120%で楽しめるようにしたい」と話す。

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