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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第47回】

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組織の停滞が生むもの

 忖度は組織が停滞すると、どうしても生まれやすくなる。分かりやすいのは、小・中学校の卒業式の日程である。本来、教育課程の責任者は校長だが、特に中学校は何故か同じ日にする傾向がある。日課も異なれば災害やインフルエンザなどによる休校や閉鎖もあり授業進度はかなり異なるため、同一にならないのが当然のはずである。

 中学校の卒業式を同じ日に統一する事により、他校とのトラブルを防ぎたいの一心で、年間行事にも括弧を付けて「予定」にしている自治体がある。地域によっては、教育事務所管内が統一されている事が慣習となっている。理由は、生徒指導上のトラブル回避にあると言うが、忖度が働いて抜け駆けは許されないらしい。
 結果として生徒指導の出来ない事を棚にあげて、授業時間を減らしている。「早く卒業させれば楽だから」と呟いた中学校長の笑いが忘れられない。

 30年ほど前に中学生の自殺を受けて外部委員会を作るとある教育長が発表した。すると、「皆、作らなければいけなくなるから、止めてもらえないか」と、近隣の教育長から連絡が入った。
 突出しないように横に合わせるようにする事が行政マンの基本とされる。しかし、何故か同じ不祥事でも処分は市町村でバラバラになる。元を正さねばすべての指導は虚構になる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」