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家庭内暴力9年で3倍に

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 未成年者による家庭内暴力が9年間で3倍近く増えていることが警察庁の集計で分かった。2018(平成30)年は3365件あり、45・9%は中学生によるものだった。小学生による家庭内暴力は13・0%を占め9年間で6・0倍へと増えた。少年犯罪は減る傾向が続いているが、児童虐待の増加と合わせ、家庭内の問題の深刻化がかいま見える結果となった。
 警察庁がまとめた「平成30年中における少年の補導及び保護の概況」は、少年相談や補導活動などから警察が認知した家庭内暴力の件数を明らかにしている。それによると、9年前の2009(同21)年は1181件。9年間で2・85倍に増えた。1年間では1割強の増加だった。
 2018(平成30)年の加害者別内訳は、小学生が13・0%、中学生が45・9%、高校生が30・4%だった。
 被害者の内訳は母親が60・7%に達し、父親は10・1%、兄弟姉妹は8・9%。同居の親族が4・6%だった。物を対象とした家庭内暴力は15・2%を占めた。
 原因・動機の内訳は、「しつけ等親の態度に反発して」が62・8%。「物品購入要求等が受け入れられず」が16・7%、「非行をとがめられて」が3・2%、「勉強をうるさく言われて」は2・6%だった。
 9年前と比べると、「物品の購入要求等が受け入れられず」が3・93倍と、増加率が高かった。
 少年犯罪全体は減る傾向が続いている。14歳以上で刑法犯として検挙された人数は9年間で4分の1に、14歳未満で刑法関連の罪に触れて補導された人数は約4割にそれぞれ減った。
 この統計では、児童虐待による検挙状況も明らかにしている。件数は9年間で3・58倍に増え、深刻化が加速している。
 警察が受理した少年相談の状況からも、家庭内の問題の大きさが見えてくる。子ども、大人それぞれから受けた相談件数の総数は前年より3・7%増えたにとどまっているが、相談内容別の件数は、「家庭問題」が33・6%を占め、前年より12・5%も増えている。
 2018(平成30)年の少年相談の件数合計は72523件。このうち、「家庭問題」は33・6%、「非行問題」は15・3%、「犯罪被害」が11・5%、「学校問題」が10・8%、「交友問題」が8・6%という内訳となった。
 家庭問題のほか、心配な傾向も出ている。「特殊詐欺」「オレオレ詐欺」などとも呼ばれる「振り込め詐欺」で検挙された少年は9年間で22・6倍に増えた。この間、非行防止教室などとして加害者にならないための教育活動を導入するなどして対策を進め、減った年もあったが、今回は2年続けての増加となった。
 大麻取締法で検挙された少年は5年連続で増加。同年は429人が検挙されている。前年より44・4%増えた。この中には7人の中学生、74人の高校生を含んでいる。
 警察が扱った校内暴力事件は2013(平成25)年をピークに減る傾向にあったが、校内暴力で補導された小学生は3年続けて増えた。今回は150人だった。文科省の集計でも小学生による暴力行為は増えており、増加の背景として、比較的、穏やかな校内暴力でも報告する例が増えたとの声があるが、警察庁の集計では、そうとも言えない実態がうかがえる結果となった。

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