生徒指導~小学校段階での考え方~【第160回】
NEWS中学生の自殺を防ぐには
教師が子どもに与える影響は大きい。教師は日頃から声を出すため、よほど意識しないと内緒話にならない。声によって励まし、叱り、誉める事も出来る。
同じ言葉を発しても、発している側と受けとる側の関係によって感じ方は大きく異なる。一言で勇気づけも出来れば、一言で失望させ自殺へと追い込むこともある。
いじめた事を悔やみ、いじめた友達の家に行った。親から厳しく叱責されそのマンションから飛び降りた。
常に兄と比べられ部活の最中に、「俺なんか居なくてもいいよな」と友達に呟いた。翌朝ドアノブに紐を掛け自分の体重で亡くなっていた。
どちらも中学2年生である。このケアに臨床心理士を即刻派遣した。先ずは子どもでなく教師が相談に来た。このケースを小学校段階で防ぐならどうすべきだったのだろう。
叱責された時の対処の仕方、自己存在感を失いかけたときの対処の仕方を小学校の時に何度かシミュレーションしておけば防げたかもしれないのだ。どちらも苦しい胸のうちを話せる相手がいない。
「大丈夫、心配ないぞ、先生に任せて、相談に来いよ」と、明朗に、楽観的に、そして親身に声を出して伝える教師が一人居たら、殆どの場合は未然に防げると私は思っている。それほど「信頼できる教師の一言」は、命をも救うし、救っているはずである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)