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生徒指導~小学校段階での考え方~【第147回】

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共に歩む

 生きた指導と死んだ指導がある。生きた指導とは、生きる指導、生かせる指導の事である。
 よい話を聞いた。やってみようと思った。でも、タイミングを逸していつか忘れた。
 これは生きた指導とは言えない。

 よく校長室の前に苦情や相談で保護者や地域の方が列を作って並んだ。いつしか「よろず相談所」となっていた。
 初めは怒鳴り声が響き、やがて泣き声に変わり、笑い声に変わっていくのが職員室からも事務室からも分かる。一服するタイミングでお茶が差し出される。
 毎度の事なので絶妙な心の機微を職員も「耳ダンボ」で感じてくれている。子どもが悪いのは親のせいだと責めても改善しない。本人が気付かなければSDGsにはならない。

 ここに共に歩む指導の基本がある。
 相手は何に悩んでいるのか。どうしてほしいのか。それは誰のためなのか。聞くだけでよいのか。それは闇夜の中で相手の前に灯りを灯す行為となる。
 安堵させて後ろ姿を見送るとき、気付くと自分の前にも灯りが灯されている事になる。人は皆繋がっていると感じる一瞬である。それは相手を選ばない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~