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先生を救う[時間が増える]シンプル仕事術

15面記事

書評

小野 隆行 著
実例に基づき具体的なヒント

 教員の働き方改革が叫ばれて久しい。今や、教職はブラック企業と揶揄されるほどだ。そんな折ゆえ、本書の出版は意味深い。
 ズバリ、本書は無駄な努力をせずに、意義ある時間を生み出すための方法を例示してくれている。しかも、実例に基づき、実践を踏まえた事実によって、である。端的な言い方をすれば、読者は自分が気になっているところをまねすればよい、というわけだ。
 取り上げられている分野は総論部分の他に、学級・学校経営、教室環境、教科教育、行事指導と日常の学校生活をほぼ網羅する。それぞれについての小項目も提示されているので、読者が改善したい内容項目から読み始めてもよいだろう。
 さらにうれしいのは、著者の姿勢だ。「仕事術は自分が楽をするだけではない。仕事によって信用が得られ、一目置いてもらえるので、学校のなかで意見や提案が通しやすくなる」と、同僚との協調性も大切にしていることだ。また「がんばった人が得をする仕組みを作る」という理念を基盤にしていることもある。
 当たり前のようだが、改めて感動したことを付記しておきたい。本書のそちこちに著者の「褒める」場面がよく出てくる。褒めて伸ばすが、まずしつけというが、その通りだ。読後感が爽やかなのも、そのことが大いに関係しているように思えてならない。
(2200円 学芸みらい社)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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