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小学校英語への専門的アプローチ ことばの世界を拓く

15面記事

書評

綾部 保志 編
音声学、児童文学など広範な視点で

 小学校英語の実践(第5・6学年は教科、第3・4学年は外国語活動)を考えるとき、簡単な内容だから、専門性は必要ない、若干の研修で大丈夫などと思っては困る。“ことばの世界を拓く”と副題の付く本書は、実践に先立って読む一冊であり、実践の過程で開く一冊ともなっている。
 5部構成(全18章)の本書は、言語社会学、記号論、音声学、児童文学、コミュニケーション論など、英語教育に関わる広範な分野を導入。小学校英語の教育実践に関わる専門的な知見を提示してくれる。執筆は、編者を中心とした18人の英語教育、関連分野が専門の研究者に、中・高校の英語教員(3人)が加わる。理論と実践の両面で、小学校英語を支える約300ページの本書は貴重である。
 各部の構成は、第I部が「教育理念、教育政策、教育目的」で二つの章。第II部は「語彙、音声、文字、文法」で四つの章。続く第III部が、「語学、文学、絵本、演劇」の4章で構成される。そして、第IV部が「個別指導、協働学習、内容統合学習、多モード的自己表現」をテーマに4章構成。第V部「使用言語、教室談話、社会文化コミュニケーション、越境コミュニケーション」の四つの章でまとまる。教科としての英語(第5・6学年)では、検定教科書を用いて、評価も行うことになる。習得語彙数は約700語といわれる。
(2200円 春風社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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