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生徒指導~小学校段階での考え方~【第114回】

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真剣な人は試される

 指導者に安住はない。安住している者に指導者はいないとも言える。人は困難な嵐のときに自らの足で踏ん張り、前へ進んでいるものである。
 それは命を削るような死闘にもなる。実際に四面楚歌や絶体絶命に至った時は、大変という言葉さえも出ないものである。心身も仕事も家庭もすべてが行き詰まる時がある。その時に真価が試される。真剣な人は、こうした場面に必ず遭遇する。

 ふと後日振り替えると、そのどん底こそが一番自分の力を放出して輝いていた時であったことに気づくことになる。
 啐啄(そったく)という言葉がある。絶妙な呼応があり、必ず思わぬ助力がやってくる。逃げ続ける人がこうした醍醐味は味わうことはない。
 生徒指導においては火中の栗を拾わなければならない時がある。しかし、手を入れた瞬間に火は消えていることが多いものである。

 毎年富士山へ不登校児童を連れて登る。不思議に高山病の子ども達が頂上では晴れやかな笑顔を見せる。気力が身体も制覇するとしか考えられない。
 恩師は人生で一番苦境の時に教え子に毎日のように手紙を書き送った。その数は数千にも及ぶ。私はその師の教え子のひとりである。生徒指導の原点、すなわち基準になっているのは、この師の心と行動にある。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~