生徒指導~小学校段階での考え方~【第103回】
NEWS夢を持たせよう
将来やりたい仕事は何ですかと聞かれ、「ありません」と答える児童が増えている。この傾向こそが社会を見つめる子どもの正直な査定と思えてならない。
昭和50年半ばの初任の頃、将来の夢を書かせると、誰一人、分かりません、決めてません、と書く児童はいなかった。
それが平成になった頃から、分からないとする児童ばかりになった。
すなわち、なりたい職業やなりたい大人が見当たらなくなったのではないかと感じた。子どもは鏡である。的の見えない弓に力は入らない。
たとえなれなくとも夢は持たねばならない。持たせねばならない。それが出来ていない教育や社会があるように思えてならない。
要因はメディアにあると思える。仮面ライダーやセーラームーンよりも個々のゲームになっている。
テレビ報道も二極化し、低俗やスキャンダル、さらには親子が殺し会う、中学生の殺人、交通事故に巻き込まれる小学生などを見て将来への夢は浮かばない。
それよりはゲームの方がましになる。こうした環境はすべて大人が作っている。
ガンジーを師としたキング牧師が「私には夢がある」と叫んだ。この映像を大学生に視聴させた。全員が初めて知り感動の涙を流した。感動しなければ人は動かないし、使命は感じない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)