教員養成の現場から【第7回】
NEWS校長の意識が大切に
調査研究3年目の今年は「校長及び教員としての資質の向上に関する指標と研修の効果的な連動に関する研究」をテーマとした。
2年間の調査研究で、若手育成には教育育成指標に基づいてOJTとOff―JTをバランス良く組み合わせて取り組むことが重要であることが見えてきた。
特にOJTでは、教員を育成しようとする校長の意識や同僚性が基盤となることが分かった。学校規模や教員の年齢構成など、様々な学校の実状を踏まえると、校内だけでメンター方式を考えるのではなく、学校外においても学び合い、教え合う研修機会が必要となる。
しかし、日常的に多忙な勤務状況を考えると、学校外の研修会への参加が困難であり、参加した研修会での学びを振り返ることも難しい。
地方自治体や大学が開催する研修会の計画に手軽にアクセスして目的の研修会に参加しやすくしたり、自己の研修履歴を確認し教職キャリアパスを意識したりができる研修管理システムの必要性が高まってくる。
このような条件にマッチして先進的な取組を行っている県や政令市に調査研究を行うこととした。
視察調査地域は、岩手県立総合教育センター(ポートフォリオを活用した自己研修の取組)、山形県教育センター(研修キャリアアップシートを開発し指標を活用した振り返りを実施)、徳島県立総合教育センター(教員の研修記録を年度別にデータベースに蓄積し活用する教育情報システムを運用)、京都府総合教育センター(研修講座の申込から研修履歴の作成までを一括管理する受講管理システムを運用)である。
各機関において担当者の方の熱意のある取組を聞かせていただいた。また、継続的に調査してきた産山村(山村)と宮古島市(離島)において、管理職への意識付けが教員育成にどのように影響していたのかを確認してきた。
これらの調査を基に、新潟県内の教育委員会や近隣学校の管理職に呼びかけ「指標に基づく資質能力向上シンポジウム」を行うことになった。
また、3年目となる若手教員を育成するセミナーも若手教員と中堅教員が一体的に学び合うキャリアアップセミナーを加えて「教師力育成セミナー」として企画した。セミナーでは教員育成指標に基づき、それぞれのキャリアステージを見つめながら取り組む研修を仕組み、指標やキャリアステージへの意識化、経験値の異なる教員の一体的な研修成果などを定量的に示せるよう参加者へのアンケート調査を継続的に実施していくこととした。