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生徒指導~小学校段階での考え方~【第93回】

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歩(ふ)登校

 歩のない将棋は負け将棋、やがて成金で大暴れと言う歌詞がある。
 不登校の要因は様々あるが、大人は原因を絞りたがる。また、その原因が無くなれば登校すると考えている。原因は、いじめ、学業不振、友人関係、教師関係、家庭内トラブルと多岐にわたる。学習が遅れる。変に思われる。 と、外見を繕って大人がまず慌てる。

 なぜ慌てるのか。「普通じゃない」と思われ、仲間外れになる恐怖が襲うからである。
 この慌てが起きない風土が作れればよいのだが、子どもが不登校と分かるとこれまで親しそうにしていた人が離れ、その逆の現象も起きる。世間体に左右されるのが日本人の文化でもある。
 だからこそ、勝つことよりも負けない心を持つことは重要である。他との競争ならば単なる競争であり勝っても自己満足に過ぎない。そうではなく自己との勝負に負けない癖を付けるのが肝要なのだ。

 人生途中じゃ決まらない。寄り道や回り道の方が味わいはある。最後の5年が幸せであったら人生勝ちなのではないだろうか。
 富士登山でも人それぞれに歩幅が違う、歩みを止めなければ誰でも必ず頂上へたどり着く。早く着いても遅く着いても、登頂には変わりはない。不登校でも決して歩みが止まっているわけではない。人は皆、人生山の途中なのである。着いてみなければ分からない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~