教員養成の現場から【第3回】
NEWSモデルプランを作成
平成29年、上越教育大学学教センターでは、文部科学省の「教員の養成・採用・研修の一体的改革事業」を受託し、この問題について調査研究を行うと共に若手教員向け教師力向上セミナーを実施することで解決のためのモデルプランを作成することとした。
「教員の養成・採用・研修の一体的改革事業」受託1年目は、若手研修を軸とした校内学び体制の構築をテーマとして取り組み、教師塾の調査や山間僻地・政令市での調査と大学が毎週夕方から開催する教員向けセミナーの実施を通してモデルプランの作成を行った。
教師塾での取り組みは、授業力向上について効果が見られたが、負担感が大きいことが課題である。自主性に委ねると効果は薄くなり、そのバランスの取り方が難しいと感じた。
熊本県の産山村や山江村などの山間僻地ではICTの活用で効果をあげていることが分かった。児童生徒が少人数であることとICT機器の充実が、若手の意欲にマッチして積極的な取り組みを促し、教員としての肯定感を充足させていけるのだろう。
横浜市では「初任者が650名、5年目までの教員が34%、10年目までの教員で56%(平成29年度)」と教職員の早期育成が重要課題となっている。教育委員会では、人材育成を校内で行うためのメンターチーム制を敷く。通常は1対1であるメンターとメンティの関係を、複数メンターと複数メンティを組み合わせ、同僚性が発揮できるように工夫している。
これらの調査とともに学教センターでは大学近隣の若手教員を対象として、年間を通し学校教育活動に合わせた教師力向上セミナーを行い、参加者の声を拾っていった。年度当初に「どうしよう学級開き」で始め、5月には「特別な支援を必要とする児童生徒への対応」、6月は「学級が崩れる原因は??学級づくりの角を築こう?」というようにその折々に抱えるであろう悩みを想定してセミナーを重ねて行った。
セミナーは夕方6時30分から自由参加で行ったので参加者は次第に減少していったが、「セミナーに参加すれば仲間と相談できる」という声も聞かれ、若手教員を支えていることを実感できた。
これらの実践を通して作成したモデルプランは、以下のようになる。
■ 若手教員(メンティ)1名に対して「メンター1名」「副担任1名」「外部支援1名」の体制を組む
■ 学習を児童生徒や教員が安心して行うことができるための学習規律や学習技能(学習スキル)の整備に学校全体で取り組む。
学校規模により工夫は必要だが、基本的に抑えておきたい若手サポート体制である。