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「東京・青ヶ島の学校から ~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~」【第8回】

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「ひんぎゃ」と呼ばれる地熱釜の隣にある東屋で、蒸した玉ねぎを糖度計で測っている4年生

地熱蒸気の吹き出し口、「ひんぎゃ」のマジック!

 青ヶ島は、外輪山と内輪山で構成されている世界でも珍しい二重式火山の島です。外輪山内では常に地熱蒸気が噴出しているところがあり、青ヶ島の人々はその場所を「ひんぎゃ」と呼んでいます。
 「ひんぎゃ」には、地熱釜が設置されていて、卵やイモなどを蒸して料理に使われています。青ヶ島小学校では、「デイキャンプ」として毎年4月に全校児童で外輪山内のキャンプ場へ行き、地熱釜を使い、蒸しパンなどを作ったりしています。
 青ヶ島の児童・生徒には、馴染みの深いひんぎゃの地熱釜ですが、これで料理をするとおいしく感じると、家族や友達との間で話題になります。
 ある時、「ひんぎゃの地熱釜を使うと、どうしていつもおいしく感じるのだろうか」という疑問が、子供たちの中に湧いてきました。そこで4年生の2人が話し合いをして、「なぜひんぎゃの地熱釜を使うとおいしく感じるのか」を実験して、確認することになりました。以下はその内容です。

1 なぜおいしく感じるのか原因を予想
 「ひんぎゃから出る蒸気に何かが含まれているのではないか。」
 「ひんぎゃで蒸すと、じっくり蒸すことができて、おいしさがにじみ出てくるのではないか。」など

2 実験方法
 (1) 4個の玉ねぎを用意し、それぞれ1/8の大きさになるようにカットする。
 (2) ひんぎゃ用と家庭用蒸し器用に分けて、それぞれビニール袋に入れる。
 (3) それぞれの玉ねぎが、蒸されて5分後、10分後、15分後にどのくらい糖度が変わっているのか、糖度計を利用して調べる。

3 結果のまとめ
 糖度計の数値を表にすると、次のことがわかりました。
 ・糖度は、必ずしも蒸す時間に比例して上がるわけではなく、上がったり下がったりしている。
 ・糖度は、ひんぎゃの方が高い。

4 感想
 「実験したことで、家庭で蒸すよりひんぎゃで蒸す方がおいしいとわかった。」
 「ひんぎゃは自然にあるものだから、食べ物もおいしくなるのではないかと思う。」
 「切った玉ねぎは常温だと目が痛くなるけれど、蒸すと目が痛くなる成分がなくなっておいしくなるのではないかと思う。」

 普段の生活の中で、青ヶ島だからこそ出てきた疑問が、探究的な学習の原動力となりました。青ヶ島の自然は、子供たちにとって疑問の宝庫です。

東京・青ヶ島の学校から~日本一人口の少ない村の学校での取り組み~