教育改革のやめ方 考える教師、頼れる行政のための視点
16面記事広田 照幸 著
「改革疲れ」にメス入れ再考促す
“考える教師、頼れる行政のための視点”の副題に誘われて、読んだらやめられない内容。本書の構成は、大きく三つに分かれる。第I部が、「中央の教育改革」で、
1 近年の教育改革(論)をどうみるか
2 日本の公教育はダメになっているのか
3 新しい学習指導要領は子どもの学びに何を与えるか
―をまず論じる。それに続けて、
4 なぜいま教育勅語?
5 家庭教育支援法案の問題点
6 教育改革のやめ方
―NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)をめぐって話(批判)は広がる。
著者(日本大学教授・教育社会学)は、東大に長く在って日本教育学会会長も務めている人。
第II部が「教育行政と学校」で、
7 地方の教育行政に期待するもの
8 学校教育のいまと未来
―が並ぶ。次に
9 地方分権と教育
10 「学校のガバナンス」の光と影
11 保護者・地域の支援・参加をどう考えるか
―の章となる。
第III部が、「教員の養成と研修」である。
12 教員の資質・能力向上政策の貧困
13 教員集団の同僚性と協働性
14 「教員は現場で育つ」のだけれど…
15 教育の複雑さ・微妙さを伝えたい
―が内容。全230ページの本書は、教育の改革にメスを入れ、個々の改革の是非やあるべき改革の方向を考えさせる。やはり、“教育改革の精選”が必要ではないか。改革ばかりで、学校現場が疲れてきたことも知ってほしい。
(2090円 岩波書店)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)