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子ども白書2019

14面記事

書評

日本子どもを守る会 編著
権利条約30年、課題浮き彫りに

 一般的に白書とは表紙の色にちなみ、行政府の実態や施策の現状を周知するものだ。広辞苑では「政府の公式の調査報告書」と説明している。ところが本書は「日本子どもを守る会」という民間の団体が発行する。しかも、既に創刊から半世紀以上たつ。どうして、こんなにも長く支持されてきたのだろう。
 その訳が巻頭言に示されている。「子どもの声を聴こう」という姿勢だ。くしくも今年は国連で子どもの権利条約が採決されて30年の節目の年にもなる。今現在の子どもの実態について考えるために、本書の持つ意義を改めて実感する。
 本書は、子どもを巡る1年を「いのちと健康」「医療」「家庭」等、11の視点で分析する。視点ごとに、3~4稿の分析や主張が述べられる。目次を見て、興味・関心のあるものから読み進められるし、一稿が2~3ページなので速読も可能だ。稿中には、表やグラフ、根拠となる学説、数値などが示され容易に理解できる。いずれにせよ、今に生きる子どもたちを巡る課題が山積していることが浮き彫りにされる。
 加えて、特集のページがある。今号は「子どもは『生きて』いるか」という重い課題への取り組みだ。心して読むべきであろう。書棚に置くのではなく、机上に置いて折に触れてひもとくのが良い使い方だろう。
(2970円 かもがわ出版)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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