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子ども問題の本棚から 子ども理解の名著25冊を読み解く

16面記事

書評

深谷 昌志 著
古典から芸能人の著作まで

 子どもの問題や生活が話題になると、著者の名が登場する。読書好きの教師の集まりでだ。本書の副題は、“子ども理解の名著25冊を読み解く”である。子どもとは何かを知る25冊を、著者は四つの部に分けて詳解・論述する。早速ページを追うとしよう。
 「欧米の古典に見る子ども像」が第I部。P・アリエスの「<子供>の誕生」から、J・デューイ「学校と社会」の5冊が登場。続く第II部が「子どもたちにとっての昭和」で、平野婦美子、豊田正子、山中恒、無着成恭、加瀬和俊の5人の著作が並ぶ。昭和の子どもは貧しかった。これは著者や評者の実感だ。第III部は、「子どもの暮らしをたどる」で、「和俗童子訓」「飛騨の女たち」「児やらひ」「日本児童遊戯集」の4冊が取り上げられる。
 第IV部は、「新教育運動に見る子ども像」で、A・S・ニール、子安美知子、手塚岸衛、黒柳徹子、斎藤喜博、I・イリッチの6人の著書が読み解かれる。終章の第V部は、「子どもたちの現在」で、阿部進、乙武洋匡、千原ジュニア、田村裕、小此木啓吾の5著作が並ぶ。巻頭の本の入手法ガイドは便利。本書を手掛かりに、名著をぜひ読んでほしいのが著者の願い。評者もこの本の幾つかは読み、筆者と対面の機があって問答もした。各地の講演の材料に用いた本も数冊。本と出合っていて良かったと思いつつ、良書解読への著者の労に敬服だ。
(2160円 黎明書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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