時短 教師の働き方を変える
18面記事5つの原則 40のアイディア
江澤 隆輔 著
「当たり前」を覆す提案も
学校の働き方改革においては、長時間勤務是正に向けてさまざまな方策が必要と考える。中でも、教師自身のやる気や意識を高めることは重要である。
本書の著者は、小・中学校の勤務経験がある現職の教諭である。教師の多くの仕事の中で、時短できるものはできるだけ時短を図り、時間外勤務を短くしてプライベートを充実させたり、不登校児童・生徒への指導や授業準備など、時間をかけたいところで浮いた時間を使ったりすることを、本書のコンセプトとしている。
第1章では、著者の考える「時短の5原則」を説明している。「原則1 職員室の空気は読まない」「原則4 仕事に優先順位をつけ『ない』」は、これまでの評者の当たり前を覆すような原則だが、読んで納得した。忙しい現職だからこそ出てくる提案である。第2章では、授業づくり、学級経営、仕事術、職員室に関して、教師の働き方を変える時短のアイディアを、具体例として40紹介している。すぐに始められるもの、プロジェクト的に進めるもの、予防的対応による時短など、多種多様でどれも興味深い。単に効率のみを追求せず、教職を楽しむ視点や、子どもに任せて育てる視点を大事にしている。
本書が紹介する原則やアイディアを参考にして、先生方は、日々の働き方を思い直したり変えたりするきっかけを得ることができると思う。
(1944円 東洋館出版社)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)