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世界10ヵ国の生徒と交流~博報日本語交流プログラム(後編)~

9面記事

企画特集

 世界10カ国11校の生徒と教師が来日し、日本の生徒と交流した公益財団法人博報児童教育振興会の第10回「博報日本語交流プログラム」(後援=文部科学省)。2週間にわたるプログラムの最後に発表会と歓送会が催され、海外校の生徒たちが日本で体験したことや発見したことなどを発表した。合同合宿に始まり、日本の中学校の訪問、ホームステイなど日本での活動を締めくくった。

充実した2週間を発見とともに振り返る

 発表会で海外校の生徒たちは、日本で発見した日本ならではの良さを盛り込みながらプログラムの活動報告を行った。インドの生徒は「インドのゴミ箱は1種類しかないが、日本はゴミ箱が何種類もあって分別しリサイクルしている」と発表、台湾の生徒は「街にゴミが落ちていない。台湾も日本のようにきれいな街にしたい」と決意を述べるなど、環境問題への取り組みに注目して発表を行った。
 また、日本は高齢者や障害者に優しい社会だと気付いた生徒も多かった。タイの生徒は「乗り降りしやすいようにバスの床が低くなることに驚いた」と話し、台湾の生徒は「目の見えない人のために青信号を音で知らせてくれる。信号にまで思いやりがある」と絶賛した。
 異文化体験に感動した声も多く、特に温泉は印象的だったようだ。タイの生徒は「最初は恥ずかしかったけれど、友達と話しながら入浴するのはとても楽しかった」と振り返った。

交流を通じて生まれた絆を確かめ合う

 どの国も充実した2週間だったことが窺えるいきいきとした発表で、ブラジルの生徒は「日本人はとても親切。向こうから話しかけてくれたおかげで交流が深まった」と感謝し、「この体験を一生忘れない。また会いましょう!」と大きな声で締めくくると、会場からは盛大な拍手が巻き起こった。
 発表会の後には、今回のプログラムに参加した国内外の生徒や教師、ホームステイを受け入れた保護者らも交えて、立食形式の歓送会が行われた。国や言葉の垣根を越えて、一緒に写真を撮ったり、連絡先を交換したり、プレゼントを渡したりと、プログラムを通して芽生えた友情を確かめ合った。別れの時が来ると、ある子は泣きながら抱き合い、ある子は笑顔で固く握手し、「また会おうね!約束だよ!」と再会を誓った。その姿を見た跡見学園中学校の和田俊彦教諭は「2週間のプログラムで子どもたちは大きく成長した。積極的にコミュニケーションを取るようになった。参加してよかった」と語り、中央大学附属中学校の生徒は「今度は私がさまざまな国に行って文化や生活を体験してみたい」と目を輝かせた。

過去の参加校に聞くプログラムの魅力

 「このプログラムで、生徒たちは期待以上に成長してくれた」と語るのは、東京都多摩市立多摩中学校の前島正明校長だ。国際社会で活躍できるグローバル人材の育成を目指す同校は、普段から日本の伝統文化の学習などに力を入れており、「学ぶだけでなく、発信し交流する機会を生徒たちに与えたかった」と、過去に2度このプログラムに参加した。
 「さまざまな国から大勢の生徒が来日し、学校を訪れてくれるので全校生徒が関わることができます」と語ってくれたのは同校の廣澤一恵教諭。最初に参加した時は1年生から3年生まで全クラスで海外の生徒たちを受け入れ、日本の伝統文化の紹介として茶道や剣道の体験をしてもらった。生徒たちが主体となって企画を練り、リハーサルして改善しながら準備を進め、本番では司会進行も務めた。「大変でしたが、この苦労を乗り越えることで成長できる。他人任せにせず、自分で工夫しながら外国の方と交流する主体的な姿勢や力が育まれた」と廣澤教諭は話してくれた。

生徒の国際社会にはばたくきっかけに

 海外の生徒たちが上手に日本語を話すことに「母国語じゃないのにすごい」と驚き、「私も英語の勉強をもっと頑張ろう」と学習意欲が高まった生徒。海外の生徒たちが積極的に話しかけてくることに刺激を受け、受け身ではなく自分からコミュニケーションを取るようになった生徒。プログラムを通じて全校生徒が主体的に国際交流に関わることで全員が刺激を受け、成長することにつながった。
 そして、中には進路面談の際、プログラムをきっかけに「将来は海外の人たちをつなぐ仕事に就きたい」と夢を語った生徒もいたという。「たった1日の学校訪問を経験しただけで、この子の世界が広がった」と前島校長。他にも多くの生徒が「将来は海外で仕事をしてみたい」と考え始め、実際に海外へ留学した卒業生も。また、京都への修学旅行では、外国人観光客に積極的に話しかけるようにもなった。
 「このプログラムに参加したおかげで、頑張れば伝わると生徒たちは自信を持てたし、大事なのは伝えようとする意志だと気付けた。国際社会で活躍する人材育成の大きな一歩になりました」と前島校長は顔をほころばせた。

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<日本参加校募集が本日より開始!第11回博報日本語交流プログラム実施概要>

 ・実施期間=2020年3月11日(水)~3月26日(木)(予定)
 ・主な交流内容=学校訪問、合同合宿、ホームステイ、発表会・歓送会など
 ・日本参加校=中学校2校程度
 ・参加人数=合宿については各校より生徒20名と引率教師2名(予定)
 ・助成内容=プログラムの活動費(交通費・宿泊費・食費・施設利用費・保険加入費など)
 応募受付期間=2019年6月3日(月)~8月9日(金)
 詳細はホームページをご覧下さい。

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