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5か年計画で避難所にマンホールトイレを整備

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マンホールトイレ設置訓練の様子

東京都小平市「防災貯留型仮設トイレシステム」導入事例

被害を想定し、多様な災害用トイレを確保
 大規模災害時における避難所の備えとして、水や食料の備蓄とともに重要になるのがトイレ機能の確保だ。こうしたなか、小平市では重要な下水道施設の耐震化を図る「防災」と、被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を組み合わせた総合的な地震対策を実施することを目的に「小平市下水道総合地震対策計画」を策定。この計画に沿って平成26年度から5か年で、避難所となる市内の小・中学校等38施設に314基のマンホールトイレシステムを設置した。
 総務部 防災危機管理課の秋田 淳一課長と前環境部下水道課の田中博晶課長は「東京都防災会議の想定によれば、立川断層帯に近い小平市は一部地域で最も高い最大震度7になっています。このため、市の地域防災計画では被害状況に対応した多様な災害用トイレの確保に努めるため、簡易トイレや使い捨てトイレなどに加え、下水道の耐震化および組み立てトイレが設置可能なマンホールトイレの整備を進めてきました」と説明する。

災害に強い下水道直結のトイレを
 マンホールトイレは備蓄が容易で、日常使用しているトイレに近い環境を確保できること。また、し尿を下水道管路に流下させることができるため衛生的であり、臭気やし尿の抜き取りが軽減される長所がある。
 その上で、一時貯留型のマンホールトイレシステムを導入した理由については、「災害時の断水で上水道の使用ができなくなってもプールの水などを利用できること。加えて、万が一下水道の本管が被災して使えなくなった場合も、仕切弁によって一定期間貯めておくことができるなどが大きなポイントになりました」と話す。
 実際の整備では、トイレ1基当りに避難者75人の使用を想定しており、標準的な学校で10基(一般用8、車いす用2)を設置し、不足に備え簡易トイレや使い捨てトイレ等も備蓄している。また、各施設は3年度かけて整備する計画になっており、初年度は設計、2年度目は工事、3年度目はテントや便座、ランタン、注水用のポンプなどの資機材を購入・配備している。なお、設置場所は利便性や排水用水の確保の観点から、避難所となる体育館やプールの近くが多いという。

いざという時に備えて設置訓練も
 両課長は「設置後は災害時に速やかに活用できるよう、避難所開設準備委員会や自治会、学校の教職員等に対し、マンホールトイレシステムの概要説明や設置訓練を実施しています。また、この3月にはふれあい下水道館で『マンホールトイレのパネル展』を開催し、市民の皆さんに向けて周知理解を図っております」と語る。
 国土交通省では避難所のライフラインを維持する要となるマンホールトイレ整備を促進するため、防災・安全交付金事業等の基幹事業として補助率2分の1で支援している。小平市のような災害時のトイレ確保に向けた取り組みが、全国の自治体にも早期に広がることを期待したい。

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