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eスポーツで浦安を高校生の「聖地」に

14面記事

ICT教育特集

内田悦嗣・浦安市長

高校対抗のeスポーツ大会「STAGE:0」開催
2019年8月14・15日・舞浜アンフィシアター

ICT人材育成のきっかけに
 ゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える「eスポーツ」の高校対抗全国大会「Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2019(STAGE:0)」がこの8月に千葉県浦安市で開かれる。eスポーツは身体的な特徴や性別に左右されずに誰でも参加できる多様性があり、10代から20代の「ミレニアル世代」に支持される新しい競技。世界で4億人のファンがいるとされ、オリンピック化に向けた動きもある。
 自ら高校時代にゲーム機に熱中し、今も親子で楽しんでいるという内田悦嗣浦安市長に大会への期待を聞いた。

達成感を味わえる活動
 eスポーツの高校対抗の全国大会「STAGE:0」の第1回大会が浦安市の舞浜アンフィシアターで開催されることを大変嬉しく思います。ゲームを通して高校生が日本一をかけて力を尽くす、舞浜アンフィシアターが高校eスポーツの「聖地」になることを期待しています。
 実は私はゲームが大好きで、もちろんeスポーツも知っています。子どものころに家庭用ゲーム機が発売された世代だからでしょう。学生時代はロールプレイングゲームに夢中になり、家族を持ってからも親子でゲームを楽しんできました。自宅でゲームを楽しめる時代を経験した今の50代以下の人たちはゲームに対してポジティブな印象を持っているはずです。
 ですから、高校生がeスポーツに熱中するのは、野球やサッカー、音楽などの活動に夢中になるのと同じで自然なことでしょう。そこで得た経験や育んだ友情は必ず将来に役立つはずです。達成感や自己肯定感を持てる活動としてeスポーツは学校の活性化にもつながります。
 ただし、のめり込みすぎて学業がおろそかになるのはいけません。高校生としてやるべきことはやる、両立させた高校生活を送ってほしいという点も他のスポーツや文化活動と同じなのです。

プログラミング的思考の育成に期待
 もうひとつ、私が学校に期待しているのは生徒がICTへの興味や関心を持つきっかけとしてeスポーツを捉え、応援してくれることです。
 ゲームの背後にはオペレーションシステムがあり、それを支えるプログラミング言語やネットワークがあります。そうした仕組みに気付かせ、将来、ゲームを楽しむだけでなく、ゲームを開発する側、つまり「作り手」になる進路選択ができるよう間口を広げてほしいのです。
 令和2年度からプログラミング教育が小学校で始まります。「こうすればこういうことができる」というプログラミング的な見方や考え方を働かせながらゲームに接することができれば、「作り手の視点」が幼少期から育まれるでしょう。
 そうすればAI(人工知能)を恐れるのではなく、自らAIを使いこなせる人材が育成できます。このような環境を整えていくのはコンピューターが身近に入ってきた我々世代の務めだと思っています。

世界に広がる文化としてのeスポーツ
 その一方で、日本の文化や伝統に親しみ、自国文化を理解することも大切にしてほしいですね。ウェブサイト上で「赤」は「#ff0000」というコードで表現できます。それを理解していると同時に、「朱鷺色(ときいろ)」と聞いて「トキの羽の裏側の色だな」と思い出せる子どもを学校で育ててほしいのです。
 デジタルとアナログの両方を知っていることで視野は広がります。ゲームも同様ではないでしょうか。私は三国志や戦国時代をテーマにしたゲームから世界史に興味を持ち歴史小説を読むようになりましたが、今の子どもたちにも当てはまることだと思います。
 ゲームは単なる遊びではなく「文化」に発展しつつあります。マンガやアニメを例に取るとわかります。かつてマンガは「読んではいけない」と否定的に捉える大人がたくさんいました。しかし、手塚治虫をはじめとしたストーリー性のある作品が発表されたことで大人も楽しむものになり、日本の文化として世界に広まりました。
 「STAGE:0」の開催を通してeスポーツを文化として捉え、高校生が活躍できる場所づくり、文化づくりの一翼を担えたらと思います。高校生の皆さんにはぜひ参加いただき「第1回全国大会出場」という二度とないチャンスで高校生活の思い出を作ってください。決勝戦が開催される舞浜アンフィシアターでお待ちしています。

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