子どものこころ、大人のこころ
20面記事先生や保護者が判断を誤らないための手引書
原田 眞理 著
多岐で豊富な実践を紹介
副題に「先生や保護者が判断を誤らないための手引書」とある。これを読み、実践して「まさに手引書、これぞ手引書」と実感した。
第1章に、「こころとは?」とあって、「この本では『こころ』にフォーカスし、『こころ』の作用により生じてくるさまざまな状況や問題を考えます」。―と始まり、「『こころ』は目に見えないにもかかわらず、なぜ私たちはその存在を信じているのでしょうか」。とあって、「あなたは、どのようなときにこころを感じますか?」と問題提起してくる。そして、その回答を書いてみることを勧めてくる。これがポイントなのだ。この本を活用していくには実際に「書いてみる」という活動が必要なのだ。本書を読んで分かったと思うだけではダメで、著者の勧めを、読者のあなたが実行していくことこそポイントなので、これこそ本書が「手引書」となる必須条件だと思う。全てにわたって親切であり、実に丁寧な著作だ。
簡単便利ですぐに役立つ…がウリのようなこの時代に、それがテレビで何かの実験を見せて、自分が実験した気にさせることと同じで、それを嫌って、著者は警鐘を鳴らしているとも思える。著者の触れる多岐で豊富な実践には頭が下がる。本書を活用するには、読み手としての活動が必須であると覚悟して読もう。
(2484円 ナカニシヤ出版)
(関根 正明・元山形大学講師)