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哲学するタネ【東洋思想編】 高校倫理が教える70章

16面記事

書評

石浦 昌之 著
先哲から学ぶ人生の知恵

 「哲学する」とは、自分の頭で考えるということ。それには、考える際の指針となるものが必要である。そのとき、よりどころになるのが、数多くの先哲である。
 古来、知の哲人たちは、人間の生き方や世界の在り方について思索を巡らしてきた。それは私たちの人生を豊かにするものである。ただし、その思想はともすれば難解であり、その神髄に近づいていくには、多くの時間と労力を要する。効率化とスピードが第一に求められる今日の社会であればこそ、先哲の思索の森を歩き回ることは重要だといえよう。特に、自己形成の途上にある若者たちにとって、その経験は、これからの人生を生きていく上でかけがえのない経験になるに違いない。
 本書は、若者たちと先哲たちとの間を結び付け、単なる知識の学習ではなく、人生の知恵を学ぶことの大切さを問い続けていく。本書は、「日本とは」という章から始まり、時間を下って、「戦後日本の思想」の章に至るまで、仏教や中国思想・西洋思想との関係性をひもときながら、32章で東洋思想についての「哲学するタネ」が紹介されていく。
 西洋思想編と併せて通読すれば、読者は全部で70の「哲学するタネ」を手にすることになる。そのタネをまき、育て、花を咲かせて、タネを採り、またまいていく。そうした循環で、自らの頭で考える営みが血となり肉となるのだ。
(2700円 明月堂書店)
(都筑 学・中央大学教授)

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