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高校社会 「公共」の授業を創る

19面記事

書評

橋本 康弘 編著
「議論する力」の必要性指摘

 本書の「おわりに」の中に、「チョーク&トーク」「プリント穴埋め授業」というキーワードが出ている。半世紀前の私が学んだ高校の授業の大半は、まさにこの形態であった。そして今、このような授業の改善が新科目の「公共」の授業を通して、求められていることを知り、評者はうれしくなった。あまりにも高校の授業改善は遅れている。
 中学校を含めて、この二つの授業形態の改善なくして、日本の中等教育の改善は前進しない。当然、大学での一方的な講義も改善の対象となる。
 編著者によれば、平成30年の新しい学習指導要領では、「議論する力」の育成が求められているという。この「議論する力」が従前の「チョーク&トーク」の授業では育成ができないことは自明である。と同時に、この「議論する力」は、実は大人にも求められている。国づくりや地域づくりに、議論が不可欠であるからだ。しかし日本人は国会の審議を見ても、この論議が苦手なのである。新科目「公共」によって、新しい国づくりの方向さえ見えてくる。
 本書に収録されている第2章の「『公共』の教材づくりと授業モデル」の実践例が、このことを示唆する。本書をきっかけに「公共」の授業実践が、続々と登場することを期待したい。
(2160円 明治図書出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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