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検証 迷走する英語入試 スピーキング導入と民間委託

12面記事

書評

南風原 朝和 編
民間試験活用への反論の書

 高校教育改革、大学教育改革、その両者をつなぐ入試改革が3点セットとなって進められているのが「高大接続システム改革」である。本書は、このうち2020年度に導入する大学入学共通テストの民間の英語資格・検定試験を活用した入試の課題・問題を「英語入試改革の現状と共通テストのゆくえ」「高校から見た英語入試改革の問題点」「民間試験の何が問題なのか」「なぜスピーキング入試で、スピーキング力が落ちるのか」「高大接続改革の迷走」などの構成で、それぞれの立場から疑義、異議申し立てを行う反論の書。課題となりそうな論点が網羅されている。
 決定過程の曖昧さ、民間検定利用についての地域格差、経済格差などにより生じる不公平、「大学入試英語成績提供システム」に参加する資格・検定試験のレベルを測るCEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)への対応付けの検証不足―などを提起した。
 2020年度入試に向け、各大学は資格・検定試験の取り扱いを明らかにし始め、例えば、東京大は民間試験の成績の提出は義務付けないと発表した。その理由は本書を読むことで理解できるかもしれない。
 にもかかわらず、現実の事態は進展していくのであれば、本書が示した数々の課題は、そのまま進行していく英語入試改革を点検する際のチェックポイントとして機能するかもしれない。
(713円 岩波書店)
(徳)

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