文科省、学校の安全対策・防災機能を強化
10面記事平成31年度予算(案)が確定
文部科学省平成31年度予算案が決まった。「Society 5・0」の到来を見据え、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興が目玉となる。学校施設の整備については、安全・防災対策を中心とした予算編成となった。
近年多発している大規模災害の教訓を踏まえ、文部科学省は来年度、公立学校施設の安全対策・防災機能の強化を推進する。
政府が昨年12月14日に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として、学校施設の強靱化を図るため、対応が必要な耐震化や非構造部材の耐震対策を推進。防災・減災に万全を期すとともに、児童生徒の安全と健康を守るため、老朽化対策を進め、教育環境の改善などの安全性・機能性の確保に取り組む。
文科省は昨年、学校施設等に関して、災害時に落下・倒壊等により人命に関わる重大な被害が懸念される屋根や外壁、内壁、天井等について、耐震性や劣化状況に関する緊急点検を実施した。その結果によると、「安全性に課題がある」と判断された公立小中学校施設は47・0%に昇った(安全性が確認できた学校31・6%、未確認21・4%。2018年10月31日現在)。
全国の公立小中学校の築年数は、建築後25年以上が経過した建物が1982年をピークに非常に多く、ほとんどが未改修の状態。また、小中学校建物の耐震化率は、2018年4月1日現在で99・2%(残棟数978棟<172自治体>)となっている。
こうした現状を踏まえ、文科省は具体的には、「防災・減災、国土強靱化のための緊急対策」として、▽学校施設耐震化の完全達成に向けた支援▽屋根や外壁、内壁、天井等の非構造部材の耐震対策の推進▽災害時の避難所としての役割も果たす学校施設の防災機能の強化(トイレ整備等)――などを実施する計画。
さらに、「教育環境の改善、安全性・機能性の確保」として、▽長寿命化の整備手法への転換の推進▽給食施設整備等を推進――する。来年度予算案に公立学校施設整備費として、1608億1600万円を計上した。
また、私立学校施設に関しても、今後発生が懸念されている南海トラフ地震や首都直下地震に備えるため、耐震化の一層の促進を図る考え。耐震改築事業を2020年度まで延長し、学校施設の耐震化完了に向けた校舎等の耐震改築(建替え)事業及び耐震補強事業、そのほか防災機能強化を更に促進するための非構造部材の落下防止対策等の整備を重点的に支援する。
特に、緊急点検等で対策の緊急性が高いことが明らかとなった私立学校施設の整備を集中的に実施。倒壊又は崩壊する危険性が特に高い施設や、耐震性・劣化等に課題がある緊急性の高い私立学校施設の耐震対策を集中的に支援する。