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現代語訳 近代日本を形作った22の言葉

19面記事

書評

五箇条の御誓文から日本国憲法まで
片山 杜秀・荻上 チキ 著
大戦巡る条約、勅諭など解説

 “五箇条の御誓文から日本国憲法まで”と副題の付く本書。明治維新、2度の大戦を経て、なぜ日本は今の形になったのか。本書は、22の「言葉」とともに国の歩みを振り返る。勅語・勅諭・法律・条約・宣言等を中心に、現代語に訳して紹介。2人の著者(片山氏は右翼思想研究の重鎮、荻上氏は若手リベラルの旗手)が読み解き、説明していく形式だ。
 22の言葉を時代別に紹介しておこう。明治時代に、五箇条の御誓文、軍人勅諭、大日本帝国憲法、教育勅語の四つ。大正時代が、国際連盟規約、治安維持法の二つ。昭和時代になると、パリ不戦条約、一身上の弁明(天皇機関説・美濃部博士)、国家総動員法、日独伊三国同盟、日ソ中立条約、ハル・ノート、開戦の詔書、開戦ニュース、カイロ宣言、ヤルタ秘密協定、ポツダム宣言、玉音放送(終戦の詔書)、ミズーリ号降伏文書、国際連合憲章、日本国憲法、あたらしい憲法のはなし―の16。これで、日本の戦後レジームがどのようにつくられてきたかも分かるのではないか。
 そして、22の言葉を並べてみると、表題は知っていても、深くその内容を知らずにいたことにも気付く。現代語訳だから、教室でも本書の内容の活用はできる。もちろん、原文で読みたい世代には、その一部(抄)が225ページ以下にある。近代日本の歩みの証しと読む。
(1620円 朝日新聞出版)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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