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対話型授業の理論と実践 深い思考を生起させる12の要件

13面記事

書評

多田 孝志 著
異見活用、対話技術の習得も

 「対話型授業」は“対話を活用し、深い思考力を育む授業”である。本書は、「対話型授業」の考え方と方法を述べた一冊。学びに“対話”を活用する教育的な意義は「一人一人の学習者の可能性を引き出し、協同の学びに参加する喜び、仲間と共に新たな知的世界を探究していく愉悦を存分に体感させることにある」と、著者は「はじめに」で語る。読者と共に、対話型で授業論を考える。
 本書の第I部は「理論編」。“対話・対話型授業”や“深い思考力”“学びの構造”について、分かりやすく述べる。そして、第II部が「実践編」。本書のページ数の約8割を実践の“解説”と“実践事例”“発展”の説明に用いている。そして「深い思考を生起させる12の要件」が紹介されている。
 その要件は(1)受容的雰囲気づくり(2)他者との対話機会の意図的設定(3)差違性の尊重、対立・異見の活用(4)自己内対話と他者との対話(5)沈黙の時間の確保(6)対話への主体的参加の手立て(7)批判的思考力の活用(8)非言語表現力の育成・活用(9)他者への響感、イメージ力の錬磨(10)対話のスキル習得(11)思考の深化継続(12)学習の振り返り・省察―。12の項目を省略的に紹介した。詳しくは、本書の第II部で確認されたい。
 著者は、小・中・高の教師を経て大学教授となった人。
(2376円 教育出版)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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