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「公教育」の私事化 日本の教育のゆくえ

13面記事

書評

岩崎 充益 著
「不易」軽視する風潮に警鐘

 学校教育は時代の波にのみ込まれ、いつの時代も揺れてきた。特に昨今は学力低下、いじめ・不登校問題等々で、ますます学校現場は苦境に追い込まれている。しかし本書の表紙帯の次のコピーに、今の日本人は耳を傾けるべきではないか。
 <教育は国にとって未来への投資です。「公教育」は未来世代の育成・福祉です。そんな観点から公的な負担は正当化されます。教育の下支えは知恵ある国家を築く為に欠かせません>
 このことを忘れて、半ばいい気になって公教育を批判ばかりしているとどうなるのか。著者は「教育の不易なる部分を軽視していると、日本の公教育は崩壊するでしょう」と警鐘を鳴らす。
 本書は教員を目指す人、現在教員になっている方、あるいは保護者に向かって、公教育の大切さを、米国などとも比較しながら、多様な視点から具体的に述べている。
 本書を一気に読んで感じたことは、このような本こそ、文部科学大臣をはじめとする政治家の皆さんに読んでいただきたいということである。後書きの中にある「教育の力によってしか社会は変えられません、日本を変えられません」という一文をしっかりと受け止めていただきたい。公教育の充実こそ、日本人を育てる最後のとりでであることを、再度確認できた。本書は公教育の本来の姿を具体的に論じた好著である。
(1000円 発行・東京図書出版、発売・リフレ出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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