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情報モラル教育 知っておきたい子どものネットコミュニケーションとトラブル予防

16面記事

書評

西野 泰代・原田 恵理子・若本 純子 編
ネットいじめ、介入の展望も

 「知っておきたい 子どものネットコミュニケーションとトラブル予防」と副題の付く本書。“子どもが安心安全にネットコミュニケーションを活用できること”を目指す一冊である。
 通信ネットの恩恵を受けるとともに、情報公開の怖さ、誹謗中傷の拡散、ネットいじめによる被害など、トラブルに悩まされた人も存在する。青少年がネット上のトラブルに遭遇することなく、健全な生活を送ること。そのため、ネット社会についての知識やマナーを習得することが急務となっている。
 本書は2部構成、第1部(1~3章)で、情報モラル教育を実施する際に理解しておきたい青少年の現状。情報モラル教育が重視される背景と今後の課題、道徳性の発達や道徳的行動の獲得と、予防教育の重要性が論じられる。つまり、情報モラル教育の“理論編”である。
 そして、“エビデンス編”(証拠・証明)が第2部(4~6章)である。ネットいじめに対する予防と介入、LINEの使用実態とLINEを利用した介入への展望。いじめに対するソーシャルスキルトレーニング(SST)の実践を論述。巻末の「資料」も重宝である。実践に役立つ情報源だ。
 編者を中心とする5人の執筆者は、いずれも教育心理学、教育学の研究者。そして、この分野に詳しい人たちである。
(1944円 金子書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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