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教育依存社会アメリカ 学校改革の大義と現実

22面記事

書評

デイヴィッド・ラバリー 著
倉石 一郎・小林 美文 訳
学級運営欠いた教育は無益

 教育改革が善であると思い込んでいる節がある。だから教育課程の改革のたびに新しいキーワードが飛び出し、学校現場は翻弄される。本書はアメリカの教育改革の実態をあぶり出す。本書を、教育改革のリーダーの方に読んでいただきたい。次の一文の指摘は、教育改革者へのきついパンチである。
 <学校改革者とは生来、楽観主義者である。学校がやり方を変えさえすれば、重要な社会問題を処理することができると確信している>
 この点はアメリカも日本も変わらない。学校を改革すれば社会が良くなるという迷信から卒業するためには、本書は必見文献である。また教員養成を目的にしている教育学部の研究者には、次の言葉の意味を十分にかみしめていただきたい。
 <カリキュラムと教授法の理論については十分過ぎるほど学んだが、学級運営(クラスルームマネジメント)については何も教わってこなかった>
 クラスルームマネジメントに欠ける教育はほとんど役に立たないことを、教育関係者は自覚しなければならない。
 また「教師本人が受け持つ生徒たちに学習させるのに悪戦苦闘している」現実に共感しない教育改革は、成功しないことも示唆する。評者は日本も教育依存社会であることを痛感した。広く本書を薦めたい。
(3132円 岩波書店)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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